5.2.1 iBump Feedbackのハードウエア
5.2.2 iBump Feedbackの原理、パラメタ
5.2.3 iBump Feedback パネルの操作
5.2.1 iBump Feedbackのハードウエア
iBump用のハードはHERにだけある。HERにバンプをたててLERとHERのポジション差をフィードバッ
クする。LERが動けばHER側もずりずりと追いかけて行って共倒れする可能性がある。が、実際はCCC
がLER/HERの軌道変動をGlobalにおさえてくれているので大丈夫。
*マグネット
Vertical
つくば直線部L/Rに2台ずつ(2000年夏以前から)
+アーク部 (IPから200〜300mの所に) L/R側に2台ずつ (2000年夏に増設:
Dispersion補正の為)の計8台
Horizontal
つくば直線部L/Rに2台ずつ(2000年夏前から)の計4台。
V/H合わせて12台
マグネット(電源)名
直線部vertical magnets(5A-60V電源使用:最大蹴り角168.575mrad)
ZVF2LE
ZVF1LE
ZVF1RE
ZVF2RE
アーク部vertical magnets(2.5A-120V電源使用:最大蹴り角235.627mrad)
ZVF4LE
ZVF3LE
ZVF3RE
ZVF4RE
直線部horizontal magnets(7.5A-40V電源使用:最大蹴り角453.75mrad)
ZHF2LE
ZHF1LE
ZHF1RE
ZHF2RE
スペア電源はiSize電源との共有で5A-60V電源のみ1台ある。場所は日光B4ビニルハウス前。電源に
スペアというラベルが貼ってある。
*制御
すべて外部電圧制御の高砂製作所製バイポーラー電源使用。外部電圧、及び電流モニタにはCAMAC
DAC/ADC使用。電源、制御モジュールはつくばB4のモニタ室にある。
重要
iBumpフィードバック関係のIOCは『IOCFBTB4』です。
バンプをたてると、例えばVerticalバンプがHorizontalに多少もれてしまうので、このもれを12台全
部使って補正している。
すなわち、例えばVertical Feedbackだけがactivateされていても12台全部のマグネットが動き電流値
が変わる。
5.2.2 iBump Feedbackの原理、パラメタ
原理:
過去の6点Xn-1~Xn-6(1window)を使って現在値Xnを表わす。
x_n = Sum_k=1^6 C_k * x_n-k
1個点をずらしてXn-1を表わす。
x_n-1 = Sum_k=1^6 C_k * x_n-1-k
Ckをm個のwindowを使って求める。
(今m=48としてhardcoded)
この(6、48)の組み合わせがベストかどうか?外乱による。
次の点Xn+1は
x_n+1 = Sum_k=1^6 C_k * x_n-k
と表現できる。
実際にフィードバックする量はXn+1にgain(パネルから操作できる)がかかったもの。
パラメタ:
ビームビームキックモニタに使用するBPMは
*verticalについてはQCS
*horizontalについてはQCS、QC2、QCSとQC2の差という3つのオプションがあり、パネルから選べ
る様になっている。
これらのBPM(モニタ)位置からTransfer matrixを使ってIPでのDX*'に比例する量を計算している。
このビームビームキック量に比例する量(Xcanonical、Ycanonical、と呼んでいる)はすでにEpicsレ
コードレベルで用意されており(By Flanagan)、sadレベルでのiBump FBではそのレコードを読んで
いるだけである。なお、BPMの同期読みだし等に失敗するとX/Ycanonicalレコードはゼロを返してく
る。この場合にiBump FBはnon-zero値がくるまで新しいバンプは立てに行かない。
完全に2つのビームが重なればビームビームキックはゼロ。しかしBPMのオフセットがあるので上記の
モニタ量はゼロにはならない(あるコンスタント)。
Luminosityが高くなる様なビームビームキックモニタ値を探して衝突状態を一定に保つのが現在の
iBump Feedbackのゴール。ビームビームキックモニタ値はHER/LERの電流値に依存するようである。
5.2.3 iBump Feedback パネルの操作
<右側>
iBump FB Bump Height:
*現在立てられているバンプの大きさが表示されます。IOCFBTB4をリブートした場合にはここに999
という値が入ります。この場合はその下の『Read Bump From the FIle』を押して最後にセットされた
バンプの大きさを読み出して『Direct Bump Set』のボタンでバンプをセットして下さい。
*このバンプの大きさはCCCに随時送られるので(あとバンプの形もCCCは知っているので(後記参照))
CCCによってiBumpで立てたバンプがつぶされる事はありません。
*なお、バンプの大きさにはソフトウエア的にリミットをかける事ができます。リミットはパネルの中央
にあるバンプリミット(これは+側/ー側別々にセット出来ます)によってユーザー側で決める事ができ
ます。もしバンプリミットにかかった場合には(あるいはミスオペでとんでもなく大きなバンプを
Direct Setしようとした場合には)メッセージボックスが現われてその旨ユーザーに伝えます。リミット
以下になるまでバンプは立てません。
マグネット/電源モニタ関係:
その下には12台のマグネットの蹴り角と電流モニタ値が表示されます。フィードバック中に12台のう
ち1台でも先述の蹴り角リミットに引っかかった場合にはバンプとして成り立たないのでそのバンプは立
てません。この場合にはパネルの下に(ステータスラインの所に)'No New
Bump is Set Since Kick
Angle is too Large'というメッセージが出ますので時々注意してて下さい。経験的にvertical
bumpが
+/-100~150ミクロン、horizontal bumpで+/-200ミクロン当たりで怪しくなるようです。こうなっ
てしまったら(なりそうになったら)LER側QCSに(小磯さんのパネルで)バンプを立ててLERをHER
側に寄せてから『仕切り直し』する必要があります。
Read Opticsボタン:
これは例えばβをしぼってOpticsが変わった時に押します。押す必要のない時に押しても害はありませ
んが普段の営業運転中には関係のないボタンです。
因みに、Opticsが変わってiBumpの形が変わる場合には、このiBumpを動かす前にlauncherの中の
Collisionの中にあるiBump Orbit Pattern Generatorでバンプの形を新たに作って下さい。このパネル
ではただ単に"To Next direction"というボタンを押していけばVertical offset、Horizontal
offset、
Vertical Angle、Horizontal Angleについてのバンプの形を計算してファイルに書いてくれます。これを
先に述べたCCCが読んでくれるのでiBumのバンプが崩される心配はありません。
このPattern GeneratorとRead Opticsを一緒のボタンにする作業は私がサボっていてまだやっていませ
ん。2度手間になっていて申し訳ありません。
<中央>
Collision FB Condition:
ここにはiBump FBがオンされていた場合に実際にフィードバックが起動する条件が表示されています。
これはユーザー側で変える事が出来ます。条件には2種類あります。第一の条件はHER/LERの電流値で
す。これ以上ビームが入らないとフィードバックしません。この条件があるので、例えばシングルビーム
状態でiBump FBをオフし忘れていても実際にはフィードバックはしません。第二の条件はRF位相です。
RF room phase(現在値)とreference room phase(パネル立ち上げ時にdefaultが入るがユーザーが
パネルから入力可)の差がThreshold以下になった場合にフィードバックが動作します。この条件によっ
て、両リングに十分電流が入っていた状態でビームをseperateする場合に一時的にiBump
FBを止める
事ができます。
DAC Enableボタン:
例えばメンテの後などでCAMACの電源がオフ/オン/initializeされた場合にはマグネット電源制御用
DACの出力をenableする必要があります。その場合にはこのボタンを押して下さい。なおこれはすでに
Enabelされている場合に押しても害はありません。木曜メンテの後の最初のシフトの人が安全の為にこ
こをまず押してみるものいいかも知れません。
Save/Load Targetボタン:
これはよさそうなターゲットがあれば押してターゲット値をセーブしたりロードしたりする場合に使いま
す。最近はhorizontalターゲットはAuto Changerで決めているのであんまり出番のないボタンです。
Suspend ボタン:
Suspendボタンを押すとFBをオンしてもただ計算だけして実際のバンプはセットしません。例えばビー
ムがしばらく入ってなかった後にFBを始める場合、最初にSuspendしておくとiBump
FBの動きがス
ムースで良いという説もあります。
Horizontal FB BPM Option :
これはhorizontalのビームビームキックモニタにどのBPMを使うかのオプションボタンです。これを変
える時にはまずiBump FBを止めて下さい。さらにターゲット値が変わるのでAuto
Changerの値も使え
なくなります。新たなターゲット探しが必要になります。ただ、モニタ値は右上のMeasuredの所にQCS、
QC2、QCS-QC2オプションについて常時出ているのでこれを見てターゲットにすれば良いと思います。
実際にはフィルの途中でこのオプションを変えた事は今までないので使い勝手を良くする努力はあんまり
してません。
<左側>
Horizontal Feedback:
ビームビームキックモニタ値がQCS、QC2、QCS-QC2オプションについて常時表示されています。時に
$$$$と出ますが、これはただモニタ値にたまたま大きな値が入って表示フォーマットと合わない場合で
す。すぐにまともな値に戻ります。戻らない時はBPMの読みがおかしくなった場合ですのでモニタグルー
プの人に連絡をとってみた方が良いかも知れません。
Target:
ここからターゲットをセットすることが出来ます。カーソルを持っていって矢印でアップ/ダウンして値
を決めてその下のSet Offset Target Valueボタンを押せば新しいターゲットがセットされます。
Current target:現在のターゲット値が出ます。
Gain:実際に計算されたフィードバック量にこのgainを掛けたものがセットされます。
Horizontal Angle Feedback:
これもHorizontal Feedbackと同様です。しかしモニターについてはオプションはありません。QC2で
モニタしています。
ターゲットのセットの仕方もHorizontal Offsetと同じです。
Feedback Interval:
これはフィードバックの周期を決めます。今のところBPMの読みだし時間以下にセットしても無意味な
ので2、3秒が限界です。
Activate H angle FBボタン:
ここをチェックするとhorizontal のangle feedbackがactivateされます。パネルが立ち上がる時の
defaultはactivateではありません。
Start/Stopボタン:
文字どおりiBump FBのスタート/ストップボタンです。
Feedback StatusにはON、 OFFとそれからwaiting for collisionの3種類が出ます。waiting
for
collisionはiBump FBがON でも先に述べたcollision条件が満たされていない場合に出ます。
Vertical Feedback/Vertical Angle Feedback:
これもHorizontal Feedbackと同様の表示です。ただしモニタにはQCSを使っていてオプションはあり
ません。
なお、iBump FBのループはVertical/Horizontalで別々に回りますので、例えばVerticalだけ動かす
という事も出来ます。
以上が現在私が把握している限りでのパネル操作の説明です。また新たに手が加わってiBumpソフトも
進化して行くと思われます。その際には手を加えた方がこのver0.0マニュアルのアップデートをして下
さい。よろしくお願いします。
つくば市春日3ー7ー4
日本電計株式会社
茨城営業所
森泰祐
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