5.1 Collision Scanの方法

5.1.1 Collision Timing
5.1.2 Collision Scan
5.1.3 Horizontal Scan
5.1.4 Vertical Scan
5.1.5 Trouble Shooting

5.1.1 Collision Timing
 

衝突点位置はLER, HER間の相対的なbeam timingを変えることでシフトする。IPに最も近いBPM(Octpos)の場所でオシロスコープで見ていて、LER のRF phase(room phase)を 調整してcollision timingがdesign値となるようにする。現在10ps(3mm)程の精度(オシロスコープ(Tektro TDS820)の性能による)で合わせることが出来る。

手順(飛山さん(4029)担当)

  1. LER, HER両リングの1st bucketにsignle bunchで入射。(0.5mA程度あれば十分)
  2. Octopos(R(L)側IP内側)のsignalをオシロスコープで見て、room phaseをdesign値となるように調整する。
Fig. 1: Collision timimg。Octopos R側IP内側のNo.1の電極でみて、design ではe+の方がdt=4.175 nsだけ早くないといけない。図はe-=0.115mA, e+=0.126mAを1st bucketに入射した時のもので、 e+が早く、dt=4.18nsとなっており、ほぼ合っている場合である。(Reference KEKB Comissioning Log. Note vol.15 p158)

5.1.2 Collision Scan

Collision ScanによりLERとHERのビームをおおざっぱにcollision条件に合わせることが出来る。KEKBではSLCの場合と同じようにビーム位置をスキャンさせて、衝突する位置を探している。

具体的にはHorizontal, Verticalにビームをoffsetさせる量(x)を変えていって、offset量に応じたbeam-beam deflection量(dx')を測定し、Bassetti & Erskineの式でfittingすることで、x _oを求めている。
bunch長の効果は無視して(2次元のbeam-beam deflection)、Gaussian形状でbeam-beam deflectionによって形状が変わらないと仮定すると、Horizontal., Vert.icalのcoherent beam beam deflection量はそれぞれ次のように表せる。
ただし、
 
Sigma_x^2 = sigma_x(-)^2 + sigma_x(+)^2
Sigma_y^2 = sigma_y(-)^2 + sigma_y(+)^2
k = Sigma_y/Sigma_x
Erf(x) = 2/sqrt(pi) int_0^x exp(-t^2) dt

xを変えていって、スキャンした結果を、この式でfittingすることでoffset(x_o)、beam size(Sigma _x)、coupling(k)が求まる。(Reference M. Bassetti and G. A. Erskine, CERN-ISR-TH/80-06 (1980))

5.1.3 Horizontal Scan

Horizontalのoffsetは、IPで22mrad水平方向にcrossing angleを持っていることを利用して、LERのRF phase(room phase)を変えることで作っている。

(room phaseを変えることで、衝突位置もずれてしまうが(1°で0.6mm)、KEKB comissioning当初Horz.方向のibumpが無かったために、room phaseが用いられた。)
Horizontalにたてるoffset量xとroom phase phiとの関係は、
 
                phi - phi_0
x - x_o = ---------- * 0.3 * 0.0022
                    360
である。但し、phi _o$はCollision timingを合わせた時のroom phase値である。
beam-beam deflection量はIPからpi/2だけphaseが進んだBPMの場所で以下の式から求めている。


                    dx(QC2RE)                                       dx(QC2LE)
dx' = ------------------------  + -------------------------
           sqrt(beta_x^* beta_x(QC2RE))      sqrt(beta_x^* beta_x(QC2LE))
 

Fig. 2: Luminosity Tuning Pannel
Fig. 3: RF Phase Scanパネル。LER のRF phaseを変えるphase shifterはD7, D8各一つずつあり、両方のphaseを同時に変えている。RF room phase offset値はパネルをMainパネルを開いた時がゼロとなる。
initial, final, delta(+-必要)の値を変えることに注意すること。

手順

  1. iSize FeedBackとibump FeedBackが止まっていることを確認する。
  2. KEKB Launcher->Collision -> Luminosity Tuningを開き、Beam Beam Scanのタグを選ぶと、Fig. 2の画面が出る。
  3. RF Phase Scan Panelを開き(Fig. 3)、fast sweep(10°step, interval 1)で+80°程room phaseをずらす
  4. sweep(initial 80, final -80, delta -5, inteval 1)を行う。Scan(Main)のパネルに測定結果が表示される。beam-beam kickのパターンが見つかったら、Go to fit。fitの結果Horz. offset値が出る。(実際はfit値にempirical factor=1.5が掛かった値が出る。)(Nominal Room Phase(phi _0)がCollision Timingを合わせた時の値であることを確認すること。)
  5. Horizontal offset値が50 micron以上の場合には、LERにHorizontal offset値のLocal bumpをたてる。Local bumpの項目を参照。
  6. 再度Horizontal scanを繰り返し(initial, final, deltaの値を変更)、offset量が+-50 micron以下になったら、room phase offsetを0に戻してVertical scanに進む。
5.1.4 Vertical Scan

Vertical方向にはHERにibumpをたてることでoffsetを作っている。beam-beam deflection量はIPからpi/2だけphaseが進んだBPMの場所で以下の式から求めている。

dy'= dy(QCSRP)/sqrt{beta _y^* beta _y(QCSRP)}+ dy (QCSLP)/sqrt{beta _y^* beta _y(QCSLP)}

手順

  1. Quick scan(initial -50, final 50, step 5, step period .1)を行う。見つからない場合には、initial finalの値をずらしてscanしてみる。
  2. beam-beam kickのパターンが見つかったら、Go to fit。fitの結果Horizontal offset値が出る。(但し、Sigma _x =sqrt{sigma _x(-) ^2+sigma _x(+) ^2}=sqrt{2}sigma _x、kappa=sigma _y/sigma _xとしている。)
  3. Go to fitして、Vertical offset値をSet Offset Above->Direct Setして、ibumpのtargetを探す。
5.1.5 Trouble Shooting
 
(a) Vertical Scanでパターンが見つからない場合
上記のibumpの範囲内でbeam-beam deflectionパターンが見つからない場合には、Horz. Scanの裏画面(Beam Beam Scan->Horizontal Scan(detail))を開く。3つグラフがあり、それぞれ

dx' = dx(QCSLP)/sqrt{beta_x^* beta_x(QCSLP)}+ dx(QCSRP)/sqrt{beta_x^* beta_x(QCSRP)}

dy' = dy(QCSLP)/sqrt{beta_y^* beta_y(QCSLP)}+ dy(QCSRP)/sqrt{beta_y^* beta_y(QCSRP)}
dy'= -dy(QC5LP)/sqrt{beta_y^* beta_y(QC5LP)}- dy(QC5RP)/sqrt{beta_y^* beta_y(QC5RP)}

を示している。 3番目のものだけにマイナス符号がついているのは、QC5(L)RPでのphaseがIPから3/2pi進んでいるためである。このグラフからどちらのビームが上にあるかが分かる。(例えば、Fig. 4の例のように、下に凸のグラフの場合には、LERのkick量を見ているので、LERが上にある。)方向が分かったら、HERにlocal bumpを100 micron程度たてて、再度Vertical Scanを行う。

Fig. 4: Horizonta Scanの裏画面。この例では、一番下のグラフを見ると、下に凸になっている。LERの軌道を見ているので、LERが上にある場合のパターンである。

(b) Vertical Scanでfittingがうまくいかない。

かけ離れたpointを選択すると、pointの色が赤くなり、fittingから外すことが出来る。
それでもfitしない場合には、Fig. 2の中のVertical Scanのfittingの初期値として与えている、sigma _x、kappa(青いコラムの中)の値を変えてfitしてみる。

3/15/2001    多和田 正史
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